「この国は67%が森林です。先進国で2番目の森林率です。海は陸の10倍以上、海岸線の長さは中国の2倍です。海の水は、太陽に温められ、蒸気となって、空へ上がり、雲となって、雨をもたらし、森や大地や町を抜けて、川となり海へと帰ります。この自然の大国に、あなたは住んでいます。」(池上彰著「日本がもし100人の村だったら」マガジンハウス)
僕は昔から、このことを世の中の人、特に子どもたちに伝えたいと思っていました。
いつも行くみなかみ町の山奥にある奥利根という場所は、このことを伝えるのにとても適した場所です。
奥利根は2000m級の山々の山麓にブナの原生林が広がり、そこから利根川の源流となる豊な水が湧き出しています。ブナやナラに代表される落葉広葉樹の森の特徴は、堆積した落ち葉をバクテリア達が分解しでできたマット状の腐葉土にあります。この土に大量の雨水がしみ込み地球規模の「水の大循環」を形成する一方で、森に生息するたくさんの動植物の命のもととなる食物連鎖を支えています。こうした森で太古の昔縄文文化が生まれました。その時からずっと姿を変えずに世代交代を繰り返しているのです。
バディの子どもたちは、毎年、この森の中にテントを張り森の住人の仲間入りをします。今大切なことは、この森で実際に目にする緑の眩しさや、緑の種類の多さ、フワフワした落ち葉の絨毯の感触や、沢の水の冷たさや湧き水のおいしさを実感することです。この実感は情報として脳の中に知識の断片として蓄積され、将来、新たに本などで学んだ情報と融合して新たな知識をアウトプットされます。これが本当の考える力です。今後将来のためにこの力を養う必要があると僕は思っています。
これからの日本は、40年後に人口が1億人を切り、2100年には今の半分になるとも言われています。もしこれが事実ならエネルギー問題より自然のことを第一に考えるべきです。なぜなら人口が減ればエネルギー消費量が減り、自然への負担が軽減され、今よりも自然優位の社会になる可能性があります。その時、自然の猛威に翻弄されるか、自然と賢く付き合えるかです。自然と賢く付き合うにはもっと一人ひとりの自然の何がなぜ大切なのかを考える力を身につけなければならないと僕は思っています。
自然と賢く付き合うためには、まずエネルギー依存をやめて、便利で快適な生活を捨てなければなりません。つまり「我慢」「辛抱」「忍耐」が必要なのです。
シンプルなキャンプは不便さが伴い、時にミザブルな状況にもなり「我慢」「辛抱」「忍耐」というメンタリティを強化する絶好の機会です。そしてその中に快適さや楽しさがあることを教えてくれるのもキャンプなのです。
保護者の皆様には、バディのキャンプにはそんな想いが詰まっていることをご理解頂ければ幸いです。
えんどうまめ