白馬・自然園へバックカントリー・テレマークスキー。
ここはゲレンデではない。移動距離はわずか数百メートル、それででも山の世界を味わえる。白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳の白馬三山を奥に目の前の白馬乗鞍岳のすぐ脇をありんこのように子供達がトレースをつけていく。このスケールを言葉で表現するのは難しい。
だから子ども達には、自分の目にしっかり焼け付けてほしいと思う。
風の音を久しぶりに聞いた。
南の風に春を感じながら、大きな雪のテーブルでお弁当を食べた。
朝8:00から滑り始めたが、雨も降り始め、雨足も強まって行く。
雨のおかげで雪が固くよく滑るから、びしょ濡れでも楽しい。
さと子をダマして急斜面に連れて行ったら、お尻で滑って「止まらない〜!」
なにかと大変な中学生活を送っているコウタ、すこしはリフレッシュできたかな?
もし息詰ったら、あの山の景色とテレマークのヒヤヒヤと爽快感を思い出してくれ!
また行こうね。次はもっと上まで!
今年は東日本大震災と復興に終始した1年でした。
私はこの1年ずっと頭から離れないことがあります。それは被災地、被災者のために何かしなきゃ、自分は何ができるんだろうということです。
震災直後たくさんのボランティアが現地に駆けつけたり、街角インタビューで被災地のために何かしたいと答える人の声がプレッシャーにも感じました。
でも、僕は一貫して「家族を守る」ことに徹しました。
あの時、僕の心を吹っ切ってくれたのは、マザーテレサの「家に帰って、家族を大切にしてください」という言葉です。これは、マザーテレサが1978年にノーベル平和賞を受賞したときの記者会見で、ある記者から「あなたみたいに社会に貢献をするにはどうしたらいいのですか」と質問され、それに答えた言葉だそうです。
「愛は身近な所から広がる」と言ってくれたマザーテレサに心から感謝しています。
あれから1年、今は少し気持ちが変わってきています。「家族を守る」は黄金律として、被災者と同じ気持ちになって、そこからその人が本当に喜んでくれる何かを生み出す力が欲しいと思うようになってきました。
これには、歌手の平原綾香さんの活動がきっかけになったかも知れません。ある時たまたま見ていたニュース番組で、平原さんの復興コンサートの特集をしていました。最後にキャスターが「平原さんは被災者と同じ気持ちになってそこからその思いを歌に変える力がすごい」と締めくくった言葉に私は反応しました。今までは自分ではどうしたらいいか検討もつかなかったことでしたが、何か大きな手がかりをつかめた気がしました。
平原さんはアーティストとしてそういう行動を必然的に行ったかもしれませんが、アーティストでない我々でも、何かしたいと思った時、その人と同じ気持ちになって、そこで感じた事を力に変えることはできるだろうし、それは決まったことではなく、その人がしたいと思った事、できることをすればいいと思えるようになったのです。
これからはそういう人が求められて行く、と根拠はありませんが、そう強く思います。
今回、修了式で子供達に配った修了書に「今辛いと思っている人と同じ気持ちになって、その人のために何ができるか、その人を喜ばすには何をしたらいいかを”そうぞう”(想像と創造)する力を身につけよう」という書いたのは、そんな思いからでした。
バディで経験した一つ一つは、何か大切なことことを想像する時や、全くないところからものを創造する時に必ず役立つはず、子ども達はそれだけの経験を積んできていると思います。経験から得た情報は脳の中に知識の断片として蓄積され、こうした情報が豊かであればあるほど、想像する力も創造する力も大きくなると私は信じています。だからバディの子達がそういう能力に長けてくれることを願ってやみません。
もう一つの大きな関心毎が、今後数十年の間に起こると言われている首都直下型地震や東海、東南海、南海地震が起きた時、自分たちも含め、子供達が生き延びられるか、ということではないでしょうか。
これもバディの子ども達は相当のアドバンテージを持っていると思います。バディでは自然の中で活動や生活を出来る限りシンプルなスタイルで楽しむことを目指しています。
「想定を信じるな」「その状況の中で最善を尽くせ」が今の防災教育の避難の原則と言われています。バディの子達は、避難するときも相当柔軟に対応できるだろうし、既に経験していることには余裕すら感じるかもしれません。長期のサバイバル生活になってもそれを楽しむくらいの逞しさがあると思います。
もっともっと災害に強い子どもに育てたい、そんなみなさんの願いにも、しっかり答えていきたいと思います。
今までやって来た事、バディが目指していることは決して間違っていない、そう思うからこそ、いままで通りを丁寧に心を込めてやっていきたいと思います。
一年間ありがとうございました、来年度も引き続き、宜しくお願いします。